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 巡 愛 

第2章 言霊の……


 しかしながら、私には上司の娘である妻に対しての根深い遠慮と、それから生まれる疲れた顔を見せたくないという意地から、仕事のことは家では一切口にしなかった。

 仕事人間の私が仕事のことを口にしないと、当然それは無口になり、妻とも会話がろくに続かなかったわけで……

 そんな妻にも聞かせられない胸の内を、カンナさんに受け止めてもらううちに、私はいつしか、カンナさんのメッセージを待ち焦がれるようになり、彼女のことをもっと知りたいと思うようになっていたのだ。

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