赤い恋 ~sho sakurai~
第39章 会いたい
*翔ちゃんさいど*
翔「あ、こっちです!」
ファミレスの一番人目につきにくい席。
店内に入ってきた佐織さんをつい、目立った行動で呼んでしまった。
佐織さんは慌てて俺たちの方へ来て、周りを確認する。
和「翔ちゃん、気持ちは分かるけど落ち着いて、」
一緒に座っていたにのに注意されて小さくなる。
佐「誰も気づいてないみたいですよ」
佐織さんは俺をフォローするかのように笑いながら言ってくれた。
翔「すいません、今日はわざわざありがとうごさいます」
佐「いえ!まさかそんなことになってたなんて知らなくて…。あ、SNS、すぐに信じてあげられなくてごめんなさい」
申し訳なさそうに軽く頭を下げられる。
和「そんな、こんなご時世ですからね。すぐに信じちゃ駄目ですよ(笑)逆に(笑)」
にのの言葉に佐織さんは笑って「ありがとうございます」と言った。
あれからSNSでやりとりして、今日ここで会うことになった。
早く…、結衣に会いたかった。
佐「それで…、結衣はいったい…?」
佐織さんが俺たちを交互に見て心配そうな顔をした。
和「……、突然ね、家を出て行っちゃって…。何を思ったのか…、俺らに迷惑かけるとでも考えたんじゃないですかね…」
にのはまるで遠い昔のことのように話した。
佐「そうだったんですか…。それで…、私を…?」
コクリ、
俺たちは佐織さんの言葉に頷く。
それを見た佐織さんはばつの悪そうな顔をして、俯いてしまった。
翔「……あの?」
佐「……あの、凄く申し訳ないんですが、私、結衣の行き先とかそういうのは何も……」
そこまで言いかけて、にのが止める。
和「あぁ、いいんです!ただ、俺たちが何度電話しても結衣は出ないから…、佐織さんなら連絡とれるんじゃないかと思って…」
佐織さんが今回のことを何も知らないのは分かってた。
だからせめて連絡だけでも、と
俺たちは考えた。
佐「分かりました、ごめんなさい」
佐織さんはまだ申し訳なさそうに頭を下げる。
ごそごそとケータイを取り出して結衣に電話をかけようとした。
そのとき、
和「あ!ちょっと待ってください!」
にのが佐織さんの動きを制止した。
佐「は、はい」
佐織さんも少し驚きながら手を止める。