赤い恋 ~sho sakurai~
第39章 会いたい
翔「……にの?」
とにかく早く結衣に会いたかった。
声だけでもいい。
聞きたかった。
俺らから結衣が離れてしまってから気付いた。
俺はほんとに結衣が好きなんだ。
結衣が必要なんだよ。
結衣が…、
和「俺らが関わってるとか今回のこととかは伏せて話してもらえませんか?…出来れば…、ここに呼んで欲しいんですが…」
「出来れば、で結構ですが」
にのはそう言って佐織さんに頷く。
佐「分かりました」
にのの意図が分かったらしく、佐織さんは大きく頷く。
そうか…、俺らが関わってると分かるとまた一方的に結衣は逃げてしまうかもしれない。
佐織さんは改めてケータイに向き直り指先を動かす。
しばらくして、ケータイを耳に当てた。
ゴクリ…、
生唾を飲んでその時を待つ。
佐「……、」
ひどく長く感じるこの時間。
それを佐織さんの声が終わりを告げた。
佐「あ、結衣?」
その名前を聞いて俺は全神経を耳に集中させる。
結衣に、
会いたい。