赤い恋 ~sho sakurai~
第10章 好きな人
…………寂しい…か…。
みんながいないことなんてしょっちゅうで、一人でご飯を食べることなんて今まで何度もあった。
それは、忙しい嵐と一緒に暮らしてれば当然のことで、最も、私みたいに昔から傍で見てくればそんなこと当たり前の様に分かってた。
だから寂しいなんて思わなかった。
思っちゃいけないと思った。
そんなのただの私のわがままだって。
結「……思わない……かなっ」
わざと笑って誤魔化した。
……嘘……。
ほんとは最初のころは「なんで独りなんだろう」って思ってた。
いや、理由は分かる。
そんなの普通に考えてみんな仕事だから。
そうじゃなくて、どうして私はこんなに寂しいんだろうって。
…………それは多分、みんなのこと大好きだからなんだろうなって、
わかるようになった。
だからこそ大好きなみんなを私独りのわがままで邪魔しちゃいけないって思った。
翔「…………そっか……」
翔ちゃんは手元を見つめた。
見つめたと言うより視線の高さを変えただけで見ていなかったかもしれない。
結「…………、ほ、ほら!冷めちゃうよ!食べて食べて!」
辛気臭くなった空気をなるべく明るくする様に翔ちゃんを促した。
翔「…………うん」
翔ちゃんはなんだか寂しそうな返事をしてご飯を食べ始めた。
翔「うめー!やっぱ結衣のご飯はうめーわ!」
と、思ったけど
いつもの明るくてご飯大好き、
な翔ちゃんにもどったから微笑んで、
結「あはは(笑)ほんとに?ありがとう」
と言った。