赤い恋 ~sho sakurai~
第13章 意地悪
沙「…………。…。結衣ちゃん!お手洗いの場所教えてくれる?」
沙良さんが椅子から立ち上がって私に聞く。
結「あ、はい」
リビングの戸を開けて廊下に出る。
沙「あたしね、」
結「え?」
突然、沙良さんが話し始めた。
沙「あたしね、…櫻井くんが好きなの」
……………………え?
結「あの…………」
沙「ふふっ(笑)何その顔(笑)いかにも驚いてますって感じ(笑)」
…………何…………?
結「えっと…」
沙「あはははは(笑)その反応やっぱり!結衣ちゃんもさぁ…櫻井くんのこと好きなんでしょう?」
結「…………え?」
沙「あはははははは!(笑)わかりやすすぎ!てか、顔に書いてあるし!」
明らかにさっきとは違う態度の沙良さん。
…………何…………?なんなの?
なんだか…………怖い…。
沙「あははは(笑)…………はーあぁ」
突然笑うをやめて真顔に戻る沙良さん。
結「あの…なんなんですか…?」
私は突然態度の変わった沙良さんに対して警戒モードに入る。
沙「ん~…?何か…って?」
自分の髪を弄りながら沙良さんは私に目を移した。
結「…………っ…………」
沙良さんの大きな目に睨まれる。
鋭い視線にたじろぐ。
沙「櫻井くんは…………駄目だよ…」
薄い笑顔を浮かべて、でもその笑顔はとても冷たいもので。
言われてることの意味が分からない私は眉間にしわを寄せながら沙良さんを見る。
沙「だってあなたは『一般人』じゃない。歌手でもなければ、アナウンサーでもない…。もちろん…………女優でもない」
結「…………」
沙「それに……事務所の社長に言われて一緒に住んでるだけでしょ?そんなので恋愛なんて…。櫻井くんだってさぁ、あなたが家でいることでゆっくりしたくてもできなかったりとか……色々と自由が無くなるんじゃないの?一緒に住むの……嫌がってたりして……」
沙良さんがクスクスと笑いながら私を見る。
結「それ……は……翔ちゃんから……聞いたの…?」
沙「クス(笑)さぁ?ほんっと鈍感なんだから…。櫻井くんの気持ち……気付いてないの?」
私を馬鹿にしたように沙良さんはずっと笑ってる。
結「…………っ」