赤い恋 ~sho sakurai~
第13章 意地悪
*にのさいど*
翔「謝れ!!」
リビングの扉に手をかけたとき、突然翔ちゃんの怒鳴り声が聞こえた。
和「…?!」
急いでリビングに駆け込む。
そこには明らかにキレてる翔ちゃんと、翔ちゃんを睨んでるようにも見える姫川沙良。
和「、翔ちゃんなにキレてんの…」
俺は翔ちゃんに駆け寄って肩を掴む。
と、俺のては振り払われた。
……おいおい…、これやべぇよ…。
ガチギレじゃねぇか…(汗)
結「どっどうしたのっ…!」
翔ちゃんの怒鳴り声が聞こえたみたいで結衣もリビングに走ってきた。
姫川沙良は一瞬結衣を睨んで唇を噛んだ。
翔「…謝れ…。今すぐ結衣に謝れ!!」
姫川沙良は半泣き。
翔ちゃんはガチギレ。
俺は…
和「…めんどくせぇ…」
結「…私…?」
成り行きが分からない結衣は自分の名前を挙げられて戸惑う。
沙「…………嫌…っ」
小さく、でも強く、姫川沙良は言った。
翔「謝れ!」
沙「嫌!!」
姫川沙良はついに涙を流して叫んだ。
…………あ~…もうめんどくせぇ…。
翔「…じゃあ…。あんたにできんのかよ…」
翔ちゃんはうつむき加減に喋りだした。
俺も結衣も黙って翔ちゃんを見つめる。
翔「…毎日…5時とか……一番早くに家出るメンバーに合わせて起きて…自分はもっと寝てていいのにだぞ…?それで飯作んだよ…。…それで…洗い物やったり、洗濯物干したり畳んだり…晩飯作って…帰ってきたら『おかえり』って…笑って言ってくれるんだよ…。……ファンレターだってさ…俺が自分で言うのもなんだけど、すげぇ数届くのに、ちゃんと…ちゃんと1人1人のに分けて、それぞれの部屋に置いてくれるんだよ…。大変なのに…すっげぇ大変なのに…『お疲れさま』って…『ありがとう』って笑って言ってくれるんだよ……」
翔ちゃんは泣いてた。
下を向いて。
結「……ふっ……うぅ……」
結衣も口元を押さえて泣いてる。
沙「…………ずるい…………。結衣ちゃんはずるいよ…………」
姫川沙良はそう言って玄関へ走り出した。
『バタバタ……バタン!』
勢いよく扉が閉められる音がして、翔ちゃんはドサッと椅子に座り込んだ。