赤い恋 ~sho sakurai~
第16章 仕事
深「んじゃあ、さっそく仕事頼んでいい?」
深瀬さんの声ではっとして私は頷いた。
結「私が出来ることなら!何でも」
そう言って私は髪を高い位置で結った。
これは昔から仕事をするとき必ずしてたこと。
スイッチ入れるってゆうか、仕事モードになるってゆうか。
深「悪いね」
深瀬さんは側にあったピンマイクを私に渡して、「じゃあこれお願い」と言って辺りをキョロキョロとした。
深「あ、いたいた。あそこにタレントさん達いるから」
斜め後ろを指差して深瀬さんは私に教えてくれた。
結「あ、わかりました」
タタタっと小走りでタレントの元へ向かった。
ピンマイク着けるのなんて何年ぶりだろ。
ちゃんと出来るかな?(笑)
えぇっと…
結「すいません、マイク…いいですか」
私に背中を向けていたタレントさんに声をかける。
「あ、はい」
そう言ってその人はこちらを向いた。
結「失礼しま…へ!?」
うっ嘘…!
結「翔ちゃん?!」
翔「えっえっ!?結衣ー!?」
翔ちゃんも私も驚いて目を見開く。
なっなんで翔ちゃんが…。
翔「なっなんで結衣がここにいんの?」
翔ちゃんも同じように思ったらしく私に聞いてきた。
結「えっなんか……人手が足んない…………って…」
荒井さんー!
翔ちゃん出てる番組なら教えてくれればいいのにー!
絶対わざとだもん!
翔「あ、そうなんだ…」
結「うっうん」
…………
結「あ、まっマイク…………」
翔「あぁ!ん、」
翔ちゃんは私に一歩近づいてきた。
うわ…………
ピンマイクってこんな緊張したっけ…?
結「…………っ……」
緊張し過ぎて……息……
ちゃんとできない……
結「はっはい。出来た……」
翔「ん、さんきゅ」
改めて見てみるとすっかりアイドル櫻井翔で、
なんだか…………スッゴク遠い人のような気がした。
ちょっと寂しくなっちゃってたり…。