赤い恋 ~sho sakurai~
第20章 結婚式
*翔ちゃんさいど*
翔「っ~…。おはよ…」
アクビを噛み殺しながらリビングの戸を開けた。
今日は午後から撮影。
智「おはよー…」
大野さんが釣り雑誌をめくりながら挨拶を返してくれた。
翔「…ん、あれ、結衣は…?」
リビングをキョロキョロと見回しても結衣の姿はない。
智「…友達の結婚式。…前から言ってたでしょ…」
…あー、そう言えば…。
翔「…。ふーん、」
食卓を見ると、目玉焼き、サラダ、ベーコンが乗ったお皿があって、
ラップがしてあった。
『翔ちゃん』
そう書かれた紙が置いてある。
翔「……まじ…?」
結婚式ある日ぐらい朝飯なんて作んなよ…。
智「…トーストだけは自分で焼いてね、ごめんね、って言ってたよ」
大野さんはやっと釣り雑誌から顔をあげてそう伝えた。
翔「…うん…。なぁ、結衣何時に出てった?」
大野さんはちょっと考える仕草をして、
智「…7時くらい」
と言った。
…………まじかよ…。
なんか……グースカ寝てた俺が馬鹿みたい。
と、突然大野さんが食卓を指差して
智「裏」
と言って、雑誌を持ってリビングを出ていった。
……裏?
俺はおもむろに『翔ちゃん』と書かれた紙を裏返した。
『遅くまで仕事があると遅くまで眠るもの!』
翔「……んだよー、」
お見通しってか…?
俺は紙を持ったままドサッと椅子に座り込んで、首をガクンと落とした。
翔「…かっこよすぎだろ…」