赤い恋 ~sho sakurai~
第32章 さよなら
沙「……で?その様子じゃあたしがやったって分かってる訳だ?」
沙良さんは悪びれる素振りを欠片も見せずに一口、コーヒーを飲んだ。
沙「ま、別にいーんだけどねぇ(笑)隠すつもりもなかったし?(笑)」
そういうと沙良さんは
意地悪く笑って私を見た。
結「…………やっぱり沙良さんがやったんですね」
こんな…、こんなことして何になるって言うの?
沙「ふふっ(笑)それはまだ分かんないんだ?ほんっととことんツメが甘いわね」
相変わらず私を見下したような冷たい言葉をかける。
結「……教えてください…。こんなことしたって、……翔ちゃんに嫌われるだけですよ…、」
沙「ほんと、馬鹿?あたし別に櫻井くんに好かれようなんて思ってないわよ。付き合ってほしいの。ただそれだけよ。ふふっ(笑)愛し合うってさぁ、いつかは終わりがくるのよ…。絶対に。ならあたしだけが好きでいいの。弱みでも何でも握って付き合わせればいいのよ」
……この人の愛情は歪んでる…。
絶対間違ってる…。
沙「そのためには結衣ちゃんが邪魔だったの…。こうすれば結衣ちゃんが責任感じるって思ったから。でも(笑)ふふふ(笑)まさか家出てくれるとは思わなかったわよ(笑)あ~ぁ、ほんと、」
沙良さんはそこまで言って、笑いながら首を振った。
そして、突然鋭い目付きを向けられる。
沙「救いようのない馬鹿ね」
冷たく力強く言い放たれた。
結「…………確かに…。私は馬鹿だと思います。…、だけど、だけどみんなのこと、そんな風に思ったことはないです!」
店内は静かに、時間が止まった。
沙「…………はぁー…。あたしの立場考えてくれる?『職業柄』」
指を指して沙良さんは立ち上がった。
沙「……言っとくけど、あんた達はあたしがしたこと分かってるか知らないけど、世間には出ないわよ?事務所が止めてる、か・ら♪」
沙良さんは最後に笑顔を向けてカフェを出ていった。
結「…………」
何?
沙良さんが何を考えてるか分からない。
結「…………おかしい…、よ……」
離れてもみんなを…、翔ちゃんを守れない?
……私は…、どうしたらいいの?