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ふしだらと言わないで

第6章 慰み者の娘 3

「お待たせした」



 おじ様は私を連れて現れる
 部屋には美男子がいた
 碧眼で、西洋風の
 そしてブロンドの髪

 宴の時お目にかかったが
 改めて間近で見ると
 また別の印象を受けた

 あまりに私と釣り合わないので
 見られるだけで緊張した

 対面して座につく
 おじ様とご子息が話しておられるのをただ聞いていた



「双葉、粗相なくな」
「はい…」



 段取り通りおじ様は退室する
 そういう手筈だった

 二人きりになる



「改めて名乗ろうか
九条院海斗だ」
「使用人の双葉です…」



 つつがなく頭を下げる

 この人に気に入られること
 それが私の仕事だ



「顔赤いけど大丈夫?」
「あ…少し緊張して…
大丈夫です…本当に」



 これから嫁ぐ人を前に
 唇にはまだ感触が生きていた

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