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ふしだらと言わないで

第6章 慰み者の娘 3

 気さくでいい人だ
 話しやすくて困らない

 私はカイトさまと呼んだ

 世間話から一転
 真剣な顔つきになる



「僕はキミを助けたい」
「あの…カイトさま?」
「事情は伺っている
今まで辛かっただろうね」



 頬に触れてくる手
 見つめる瞳

 それは同情を引くおじ様の戦略だ

 気になった女性が
 辛く惨たらしい状況にあれば
 男なら必ず助けたくなる

 おじ様はあなた個人を見てない
 あなたの会社しか見てない



「本当に酷い仕打ちだ
年端もいかないこんな子供に…」



 少しだけ怒りが垣間見えた

 勝手な解釈だが
 無理矢理とか嫌々とか
 私が苦境だと決めつけている

 貞操を重んじる彼の様子に
 我知らず唇をなぞる



「でも…これが仕事ですから
私のような身の上の
弱き女が生きるためには…」

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