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ふしだらと言わないで

第6章 慰み者の娘 3

「双葉!?」
『はい』
「あんた…何してんの!?」
『ごめんなさい
でも私が電話したことは
内緒にしてください』



 美姫は何から聞けばいいのか
 柄にもなく迷った



「…生きてる?元気?」
『はい』
「ならいいんだ」
『美姫様…あ、いや
もう使用人じゃなくなったし
いい?』
「うん」



 美姫と双葉は一つ違い
 こんな立場でなければもっと気安く会話していたはず
 美姫の願いが今叶っていた



『私ね、おじ様が好きだった』
「…それホント?
あり得ないでしょ、あたし超複雑」
『美姫も好きだよ?』
「…だったら
帰ってきてよ」



 声に力が張り詰める



『…私、妊娠したんだ』
「はぁ!?妊娠…!?」
『好きな人にはそんな姿見せたくない』
「できちゃったってわけ…?
え、じゃあどうするの?
生む…の?お金は?生…活は?」



 ぞっとした

 一瞬黙り込んだ双葉の沈黙にこそ強い意思を感じた

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