テキストサイズ

ふしだらと言わないで

第4章 慰み者の娘

 傘をさした男性がいた
 私を打つ雨が消えた



「お話、しないかね?」



 私はその人をおじ様と呼んだ



 端的に言って私は買われた

 おじ様はお金持ちで
 住み込みの使用人として私を身受けしてくれるらしく、いくつかの条件つきだったが破格の待遇だった

 どんな条件だろうと
 雨を凌げ、飢えを凌げ
 着る物があるなら
 私に選択の余地はなかった



 私は顔を上げた
 おじ様が微笑んでいる

 少しだけパパに似ていた
 信頼できる笑顔だった



「これから、お願いします」



 私は自由と引き換えに生きるための最善の選択をした

ストーリーメニュー

TOPTOPへ