王家の詩には綴られない恋
第1章 王家の詩には綴られない恋
「好きだ」
目の前に立つ男は、無表情にも真顔にも見える顔で、突然そんなことを言う。
彼の名は、マクシミリアン・ロベスピエール。機密局の活動を行う私たちの前に、度々現れる詩人の一人だ。亡くなった姉と知り合いだったようだが、かつて姉と共に奔走した彼は今やフランスを去り、私たちと相対する者についている。
かといって、確実に命を奪えるチャンスがあっても、私たちを直接狙おうとはしない。何を考えているのかわからない男だ。
「私はデオンです」
マクシミリアンは、恐らく気づいている。姉――リアの死後、その魂が私の身体に宿り、しばしば私と入れ替わっていることに。だが、今の私は、その“弟”でこの身体の元々の持ち主、デオン・ド・ボーモンだ。
「ああ…すまない」
涼しげな表情を変えずに言った。
「どうすればリアは出てくる?」
この発言により、“恐らく”が確信へと変わる。彼は知っている。死したリアの魂が現世に留まり、私の身体を借りて自身の死の真実を追っていることを。
「姉は亡くなっています」
しらを切ることにした。代わる瞬間は唐突で、私にもわからない。知っていたとしても、それを教えるに足る信用は、この男にない。
「リア、覚えているか。フランスに帰ったら、一緒になろうと言ったことを。私は申し出を取り下げるつもりはない」
一歩私に近づき、言った。
「いや、だから私は」
……え?
目の前に立つ男は、無表情にも真顔にも見える顔で、突然そんなことを言う。
彼の名は、マクシミリアン・ロベスピエール。機密局の活動を行う私たちの前に、度々現れる詩人の一人だ。亡くなった姉と知り合いだったようだが、かつて姉と共に奔走した彼は今やフランスを去り、私たちと相対する者についている。
かといって、確実に命を奪えるチャンスがあっても、私たちを直接狙おうとはしない。何を考えているのかわからない男だ。
「私はデオンです」
マクシミリアンは、恐らく気づいている。姉――リアの死後、その魂が私の身体に宿り、しばしば私と入れ替わっていることに。だが、今の私は、その“弟”でこの身体の元々の持ち主、デオン・ド・ボーモンだ。
「ああ…すまない」
涼しげな表情を変えずに言った。
「どうすればリアは出てくる?」
この発言により、“恐らく”が確信へと変わる。彼は知っている。死したリアの魂が現世に留まり、私の身体を借りて自身の死の真実を追っていることを。
「姉は亡くなっています」
しらを切ることにした。代わる瞬間は唐突で、私にもわからない。知っていたとしても、それを教えるに足る信用は、この男にない。
「リア、覚えているか。フランスに帰ったら、一緒になろうと言ったことを。私は申し出を取り下げるつもりはない」
一歩私に近づき、言った。
「いや、だから私は」
……え?