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王家の詩には綴られない恋

第1章 王家の詩には綴られない恋

「不潔ですっ!!」
そう叫ぶと、ロビンは背を向けて走り出す。

「待っ…」
引き留める間もなく、ロビンは走り去ってしまった。ああ、そんな。また味方を失った…。というか、誤解された。

「やっぱり面白いな、あいつ」
くく、とデュランが笑う。

「は」

「冗談だよ。安心しろ」
あっさりと言うデュラン。私はよくわからないまま、とにかく先ほどよりは状況が好転したのだと悟る。

「私は本気だ」
マクシミリアンが相変わらずの真顔で言った。

「リア、一緒になろう」

「だから、そう言われても私には」

「さてと。今日は久しぶりに飲もうかな」
私の危機を無視し、デュランがあっけらかんと言う。

「ちょ…」

「じゃあお二人さん、仲良くな」
状況を知っているデュランまでもが、引き留めもせず去っていく。

「リア」

「私はデオンだし、私にはアンナが」
今度はがっしりと肩をつかまれ、身動きができない。マクシミリアンが唇を寄せる。


「私にはアンナがぁぁあああっ!!!!」

夕暮れのフランスに、悲痛な叫びが響き渡った。





              完
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