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王家の詩には綴られない恋

第1章 王家の詩には綴られない恋

「デュランも黙って見ていないで、止めてくれこの人!」
マクシミリアンの口を抑えてぐいぐい押しながら、唯一の味方にすがるような目で言った。

「…ふむ。色々考えていたんだが」
考え込むように、デュランは顎に手を当て言った。

「――俺も別にいいや。弟の身体でも」

「は!?」

「リア。もう二度とおまえを手放したくない」
つい緩めてしまった私の手をそっとどけ、マクシミリアンは再び口づけを迫る。

「口づけしたらリアも出てくるかもしれないな」
ほら、童話の姫みたいに、とデュランが言った。

「やってみよう」
二人が頷き合う。

「勘弁してくれ!」


「何をしているのですか、デオン様」
姿の見えない私たちを探しに来たのか、今度はロビンがそこに立っていた。

「よかった…!ロビン、助けてく」
言いかけたところで、ロビンの顔がみるみる強張っていくのに気がついた。私を見ていたロビンの目がデュランへと移る。

「愛しい姫君、お手を」
ひざまずいたデュランが手に軽いキスを落とす。

「愛している」
そんな止めの一言を言うマクシミリアンを凝視したまま、ロビンは固まっていた。

「ロ、ロビン…」
私が呼び掛けると青ざめたロビンがはっと我に返る。

「ふ、ふ、ふ、ふ」
ロビンは唇を震わせる。

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