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FREE BIRD

第42章 帰宅後

店は相変わらず、知世と二人だ。


暇になると、どちらともなくたわいのないお喋りをしだす。


「休暇はどうだった?」


「ええ、楽しかった」


新作コレクションのシャツを畳みながら答えた。


「実はね、前回パリに行った時、素敵な男性に出逢ったのよ」


「そう…」


私は作業しながら気のない返事をした。


進の心臓の事は気になるし、夢のような誠さんとの時間も私の中で回想するし、完全に自分の世界だったのだ。


「ちょっと!聞きたくない?私のアバンチュール」


「あ…ごめん…」


知世の声にはっとし、私は手を止め知世をようやく見た。




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