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FREE BIRD

第53章 雪の嘘

「健太君のご両親ですね、担当医の小池です」


待合室に颯爽と入ってきた若い医師が、ニッコリと挨拶にきた。


僕と雪は同時に立ち上がり、深々と会釈した。


「無事、縫合し、出血も収まりました。少しだけ、輸血しましたが、大丈夫です。若いから直ぐ元気になりますよ。
幸い神経も無事だし、傷こそは残るが、後遺症もないと思います」


ああ、良かった!


「「ありがとうございます」」

雪と声を揃え、礼を言うと医師は、待合室から出て、代わりに看護師が入ってきて、細々と入院やらの話しをし出した。


僕はホッと肩を撫で下ろし、長椅子に座り直した。


心の奥底でなにやら得体の知れない重みを感じながら…


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