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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第13章 第三話 【観玉寺の廃妃】  涙の味

 明姫も女だから、人並みに子どもを生み母親となってみたいという願いはあった。もちろん、大好きなユンの子どもを生み、育てたい。けれど、後宮でユンの妃として五ヶ月間、あれほど情熱的に愛されながら、明姫は懐妊することはなかった。
 明姫が後宮を下がっていた間にユンが寝所に召した曺昭容は、たった一度で懐妊したというのに。自分のいないときにユンが側室と関係を持ったというのは、確かに衝撃ではあった。
 しかし、そんなことは最初から覚悟していたことだ。国王の側で生きるのなら、彼が他の女を閨に招き子をなすのがどんなに辛くても堪えなければならなかった。国と王室の存続のためにも、跡継ぎたるべき王子は必要なのだから。

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