テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第13章 第三話 【観玉寺の廃妃】  涙の味

 己れの立身ばかりしか頭にない他の内官どもに爪の垢を煎じて飲ませてやりたいほどだ。まったく女にしておくのは惜しいほどの見上げた忠誠心ではないか!
「お二人とも涙を流して久々の再会を歓んでおられました」
 と、無難に纏めた返答を王には返した。
 維俊が事の次第をひととおり報告し、淑媛から預かった書状と小さな巾着を王に手渡すと、王はしばらく眼を見開いてそれらを見つめていた。
「明姫がこれを私に?」
「はい」
 頷くと、王は黙り込んだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ