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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第13章 第三話 【観玉寺の廃妃】  涙の味

 ユンは執務机に突っ伏した。わずか四行の詩からは明姫の哀切な訴えが十分すぎるほど伝わってきた。
 彼女がこれほど自分を求めてくれているのは男としてこの上なく嬉しい。しかし、現況では、明姫に頻繁に逢いにゆくのは難しい。万が一、流刑に処している廃妃に国王自らが逢いにいっていると知れたら、大変なことになる。
 自分の王としての評判などこの際、どうでも良いが、今度こそ明姫は生命が危ういかもしれない。明姫に毒杯を賜るようなことになれば、幾ら後悔しても取り返しがつかない。もし、そんな状況に追い込まれたら、今度こそ自分は惚れた女を守り抜く。女に毒薬を賜る前に、自分がその毒杯を飲み干して死ぬだろう。

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