身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第13章 第三話 【観玉寺の廃妃】 涙の味
変わった娘だ。揚げパンも大好物なのですと笑いながら言っていた。四年前、明姫の実家に二人で結婚の挨拶に出向いた時、その帰りにユンの〝隠れ家〟に寄った。市で買い求めた酒肴の中には揚げパンが入っていて、明姫は見ているユンが気持ち良いくらい、旺盛な食欲で揚げパンをぱくついていた。
「可哀想に、どれだけ心淋しい想いをしていることだろう。私が不甲斐ないばかりに、そなたには哀しい想いばかりさせる」
今、明姫がここにいたら、大好きな揚げパンを心ゆくまで食べさせてやれるのに。ユンはそう思い、我ながら色気のないことだと一人で笑う。
「可哀想に、どれだけ心淋しい想いをしていることだろう。私が不甲斐ないばかりに、そなたには哀しい想いばかりさせる」
今、明姫がここにいたら、大好きな揚げパンを心ゆくまで食べさせてやれるのに。ユンはそう思い、我ながら色気のないことだと一人で笑う。