身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第2章 第一話 【桜草】 戸惑いと、ときめきと
「どういうところを見て、そんな風に思うの?」
「父が亡くなった時、私はまだ十四歳だった。そなたは幼くて知らなかったかもしれないが、九年前に都を震撼とさせた事件があった。誰が考えても不審な火事で、たくさんの生命が失われたんだよ。その火事で、父は信頼する部下を失った。父が精神を病んだのは、その直後だ。一説には、その部下を火事に見せかけて殺した輩が父をも毒殺したのではないかと囁かれている」
「―」
明姫は声がなかった。九年前の火事、たくさんの生命が失われた不審な事件。それだけ聞けば、何を意味するか判らぬはずがない。
「父が亡くなった時、私はまだ十四歳だった。そなたは幼くて知らなかったかもしれないが、九年前に都を震撼とさせた事件があった。誰が考えても不審な火事で、たくさんの生命が失われたんだよ。その火事で、父は信頼する部下を失った。父が精神を病んだのは、その直後だ。一説には、その部下を火事に見せかけて殺した輩が父をも毒殺したのではないかと囁かれている」
「―」
明姫は声がなかった。九年前の火事、たくさんの生命が失われた不審な事件。それだけ聞けば、何を意味するか判らぬはずがない。