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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第14章 第三話 【観玉寺の廃妃】  祭りの夜

「黄内官も私には似たようなものだ。爺やが祖父なら、さしずめ彼は兄のようなものだな」
 そこでユンは改めて明姫を見つめて笑う。
「そなたらしいな。自分のことよりも女官の将来の心配をするとは」
 明姫の手を握ったユンの大きな手に力がこもった。
「だが、私はそなたのそういうお人好しなところに惚れたのだ」
「殿下!」
 明姫が頬を上気させると、ユンが人差し指でその頬をつついた。
「閨の中ではあれほど奔放になっておきながら、今更、このような他愛ない言葉だけで紅くなるとは」
「知りません! 殿下はまったくお変わりになりませんね。とても意地悪です」

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