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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第14章 第三話 【観玉寺の廃妃】  祭りの夜

「三年前、殿下がおん自ら私を迎えにきて下さったときのことです。私が実家の庭にいて、桜草を見ていると、殿下はやはり今と同じ科白を仰せでした」
―そんなに見つめていては、桜草に穴が空いてしまうよ? お祖母さまは、そなたがまるで愛しい恋人を見つめるように熱心に桜草ばかり見ているとおっしゃっていたが、なるほど、確かに、お祖母さまの言うとおりのようだ。幾ら相手が花だといっても、少し妬けるな。桜草が羨ましいよ。

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