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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第14章 第三話 【観玉寺の廃妃】  祭りの夜

 ユンは達筆な字で灯籠にソリの願い事をしたためた。
 三人で池辺に行き、ソリはユンに手伝って貰いながら、自分の手で灯籠を池に浮かべた。
「おい、そんなに身を乗り出すと、危ないぞ?池に落ちたら、どうするんだ」
 しきりに心配するユンを見ながら、明姫は思った。ユンなら、さぞかし子煩悩な父親になるだろう。二人の身なりこそ違えども、ソリの小さな手に我が手を添えて灯籠を水面に浮かべようとするユンの姿は、紛れもなく若い父親のそれに見えた。
「お兄ちゃん、見て! 灯籠があんなに輝いてる。綺麗」

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