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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第14章 第三話 【観玉寺の廃妃】  祭りの夜

―殿下、王女が王女が行ってしまいます。
 気が狂ったように泣く彼女を腕に抱き、ユンもまた涙を流した。
―王女は天に還ったのだ。生まれてくるときまではさぞ苦しかったに違いない。これで漸く長い苦しみから解放されたのだから、静かに見送ってやろうではないか。
 泣き続ける曺昭容に言い聞かせたあの日から、もう四年が経つ。あれ以来、曺昭容は精神に異常を来し、健康は回復したものの、いまだに夢現の世界を彷徨っている。
 明姫が側室であった頃は、明姫以外に王の寵愛を受ける女は後宮におらず、現在に至っては王はどんな美しい女官にも見向きもしない。

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