身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第14章 第三話 【観玉寺の廃妃】 祭りの夜
明姫の異変を察したかのように、大人しかった小花が急に吠え始めた。夜のしじまに、小花の鳴き声だけが響き渡る。ユンは足許で危急を告げるように吠え続ける犬など見向きもしなかった。
見上げた空には丸々と肥えた月が懸かっている。空も月も近い。ユンの瞳を映し出したかのような漆黒の空に、白銀の月が煌々と輝いている。ユンに運ばれてゆく明姫の瞳に、美しくも人の心を惑わすような妖しい月が彼女を憐れむかのように映った。
見上げた空には丸々と肥えた月が懸かっている。空も月も近い。ユンの瞳を映し出したかのような漆黒の空に、白銀の月が煌々と輝いている。ユンに運ばれてゆく明姫の瞳に、美しくも人の心を惑わすような妖しい月が彼女を憐れむかのように映った。