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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第15章 第三話 【観玉寺の廃妃】  再生

 房の扉が開く音がして、眠っていた明姫はうっすらと眼を開けた。
「ヒャンダン?」
「済みません、起こしてしまいましたか?」
 ヒャンダンが枕許に座った。例の薬湯を乗せた盆を持っている。
「あの薬、呑みたくない」
 明姫にしては珍しい我が儘であった。
「ごめんなさい。あなたを困らせるつもりはないの。でも、気分が最悪で、吐いてばかりでしょ。あの苦い薬湯を飲んだら、また余計に吐きそうで怖いわ」
 昨日、川から戻ってから、明姫は大量に吐いてしまった。とはいえ、殆ど食べてないので、出るものは苦い胃液ばかりだった。そのままヒャンダンに布団に押し込まれ、絶対安静を言い渡されたのである。

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