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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第15章 第三話 【観玉寺の廃妃】  再生

―私はてっきり殿下が夜明け頃、観玉寺をお発ちになるとばかり思っていたのですが、殿下はまだ夜半といって良い時間に発たれたのです。ご様子がおかしくなったのは、あの直後からではないでしょうか。
 維俊は勢い込んで言った。
―淑媛さまと何かおありだったのでは?
 その言葉には、孫維は薄く笑った。
―お二人ともまだお若い。喧嘩くらいはなさるだろう。
 維俊は父ににじり寄り、周囲に人影がないのを確認してから声を潜めた。
―淑媛さまを都に呼び戻すことはではきないものでしょうか? 殿下は恐らく、そうなさりたいと思し召しているはず。

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