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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第15章 第三話 【観玉寺の廃妃】  再生

「殿下、それではまた殿下のお立場が悪くなるでしょう。明姫は私のせいで殿下を困らせたくはないのです」
 本来なら、都から遠く離れた山寺にいる明姫が懐妊するはずがなく、ましてや腹の子が王の胤であるというのは不自然だ。明姫の懐妊が公になれば、王が自ら宮殿を追放した廃妃の許にひそかに通っていたことが露見してしまう。罪人である廃妃への未練を棄てきれず、愛欲に負けた愚かな王と誹る者もいるだろう。
 ユンは明姫の想いをとうに見抜いていたようだ。晴れやかに笑うと、明姫の白い手を自らの手で包み込んだ。

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