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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第15章 第三話 【観玉寺の廃妃】  再生

「淑媛さま、綺麗」
 見送りの中には、あの小さなソリもいた。和魂祭の夜、明姫やユンと一緒に灯籠を流した女の子だ。あれからユンのくれたお金を元に母親は商売を始めた。町で蒸し饅頭の露店を出したのだ。
 今はまだ細々としたものだが、売れ行きは悪くはない。そのお陰で、母親は身体をひさぐこともなくなり、ソリは幼心にも淑媛さまのお陰だと信じていた。
 ソリにとって、今日の美しく優しい明姫は観音さまのように見える。今までも美しかったけれど、こうして煌びやかな衣装を着た淑媛さまは天女さまのように神々しくて美しい。

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