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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第15章 第三話 【観玉寺の廃妃】  再生

「何でもありません」
 輿の引き戸を開けているので、今、中にいる明姫からも外がよく見える。
 見送りの最前列には、慈慶、慈鎮がいる。観玉寺の人たちは寺男一家まで総出で見送ってくれた。
 昨夜、慈鎮に別離を告げた時、彼は細い眼許に穏やかな笑みを宿して言った。
―おめでとうございます。どうぞお健やかに、御身が幾久しくお栄えになりますように。ご無事のご出産をここから日々、祈念いたしております。
 この数年後、住職の慈慶が亡くなり、二十五歳の慈慶が若くして次の住職となっている。

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