テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第16章 第四話 【永遠の少女】 愛しき者

 ヒャンダンは今更ながらに、我が主人のその可憐で儚げな美貌に眼を瞠る。
―お子をお生みになってからの和嬪さまはますます美しくなられた。
 まさに〝傾国の美〟と讃えられても仕方のない美しさだ。最近、年若い国王があまりに明姫に夢中なので、巷では和嬪の色香に溢れんばかりの美貌を評して〝傾国の美貌〟というそうな。
 もちろん、明姫に仕えるヒャンダンとしては、あまり嬉しくない形容ではある。傾国とは国を傾けるとの意味で、端的にいえば亡国の兆しともいえる。しかし、明姫は別に政治に口出ししたことはないし、身内を高官に取り立てて欲しいと閨の中でねだりごと一つしたこともないのだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ