テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第17章 第四話 【永遠の少女】 波乱

「清国の皇帝陛下より賜った?」
 明姫は愕きに眼を瞠り、女官二人がようやっと運んできた水仙に眺め入った。
「昨日、届けられたそうでございます。ご懐妊中の御身には何かと心むすぼれることも多かろうと、これをご覧になり少しでも気散じせよとの国王殿下の深いご配慮かと思われます」
 崔尚宮は人前では、けして私情を見せない。今も恭しく述べると、一礼した。
「見事なものですね」
 それだけで値打ちがあろうかと思われる青磁の鉢には唐草模様が複雑に刻み込まれている。植わっているのは数本の水仙だ。花の一つ一つが大ぶりで、水仙に見えないこともないが、どちらかといえば白い薔薇と言われても納得するかもしれない。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ