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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第17章 第四話 【永遠の少女】 波乱

 理由は明姫にも判っていた。それはユンが国王、この国を統べる王だからだ。ユンが市井に生きるただの男であれば、明姫がここまで憎しみの対象となることはなかったはずだ。後宮の女であれば誰もが国王の眼に止まり、その寵愛を受けたいと願う。いずれは側室となり、王子を生んで世子の母となりたいと野望を抱く。
 だが、明姫は一度でもそんなことを考えたことはないのだ。ただ愛する男の傍にいて、その人の子どもを生み、ささやかでも良いから幸せな家庭を築きたい。そう願ってきた。
 だが、天は世の常の女が願うすべてのものを明姫に与えた。この国で至高の存在とされるただ一人の男に愛され、側室として王妃に次ぐ地位に就き、世子の母となった。

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