身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第2章 第一話 【桜草】 戸惑いと、ときめきと
領議政に真っ向から刃向かえば、今度は自分も消されると怖れたのかもしれない。あの時、どれだけ思ったことか。無念の死を遂げた父や巻き添えになった母や弟、多くの奉公人たちの罪なき生命のためにも、国王自らが立ち上がり、領議政の罪を暴いて欲しいと。
「そうだ、いちばん不甲斐ないのは国王なんだ! でも、言い訳のように聞こえるかもしれないが、先の国王が動かなかったのは何も保身のためではないんだよ」
ユンが静かな声音で言った。
「先王はこれ以上、犠牲者を出したくなかったんだ。明姫、あの火事は領議政からの警告であることは間違いないが、二つの意味があった。
「そうだ、いちばん不甲斐ないのは国王なんだ! でも、言い訳のように聞こえるかもしれないが、先の国王が動かなかったのは何も保身のためではないんだよ」
ユンが静かな声音で言った。
「先王はこれ以上、犠牲者を出したくなかったんだ。明姫、あの火事は領議政からの警告であることは間違いないが、二つの意味があった。