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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第17章 第四話 【永遠の少女】 波乱

 言いかけた明姫の背に回ったユンの手に力がこもった。
「愚か者! 誰がわざわざ、そなたの眠る布団に鼠を棄ててゆくものか。誰かがわざと置いていったのだ」
「それは判っております。されど、何も大仰に騒ぎ立てるほどのことではないと」
「洪尚宮はその折、そなたに申したと言っておったぞ。初回は子ども騙しの悪戯で済んだが、次回もそれだけで済むとは思えないと言うたそうではないか」
「それは」
 明姫はうなだれた。そのことを指摘されては、返す言葉もない。確かにあの時、ヒャンダンは衷心から勧めたのだ。ユンにすべてを話して、悪戯程度で済む中に事をおさめた方が良いと。しかし、その意見に耳を貸さなかったのは自分だ。

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