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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第18章 第四話 【永遠の少女】 謀(はかりごと)  

 愛犬小花が静かに息を引き取ったと知らされたのは、その日の夕刻であった。知らせを受けて、今度こそ明姫は小花の許へと駆けつけた。ヒャンダンももう止めはしなかった。
 チマの裾を絡げ、走りたくても大きな腹が邪魔をして走れない身体を持て余しながらも、小走りに急いだ。
 ここ数日見ない間に、小花はすっかり痩せ衰えていた。具合が悪くなったのは昨夜からだというが、もしかしたら、もっと前から病気だったのではないか。
 明姫が小花を腕に抱いたのは三日前のことである。そのときは別段、健康そのものに見えたのに。明姫は痩せてしまった小花を膝に抱き、すすり泣いた。

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