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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第18章 第四話 【永遠の少女】 謀(はかりごと)  

 ヒャンダンが下がった後、明姫は完成したばかりの小さな足袋を手のひらに載せ、見入った。生まれてくる子の幸せを祈りながら、ひと針ひと針心をこめて刺した撫子の花を愛おしげにそっと撫でる。
 自分の居場所も死に場所もここ(宮殿)、大好きな彼の側にしかない。
 観玉寺を去る時、心に誓ったのだ。負けないと、もう自分の心の弱さに負けて、愛する男の傍から離れたりしないと決めた。
 そう、これで良い。私は母親なのだ。愛する男と我が子を守るためには、けして不当な力に屈したりはしない。
 私はどこまでも闘う。明姫は小さな足袋をまるでそれが我が子であるかのように胸にしっかりとかき抱いた。

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