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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第19章 第四話 【永遠の少女】 嫉妬   

 殿舎に戻ってから、明姫は盥に汲んだ水に手ぬぐいを浸し、ヒャンダンのまだ赤みの残る頬を冷やしてやった。
「これで少しは楽になると良いけどね」
 うっすらと涙ぐんで不安げに言う明姫に、ヒャンダンは泣き笑いの表情で言った。 
「身分の高い方は大抵、お付きの尚宮など主人の代わりに殴られて当たり前だと思っていらっしゃいます。でも、和嬪さまは違う。今もこうやっておん自ら私の傷を癒そうとし、私のために泣いて下さいます。私はその和嬪さまの涙をこの上なく尊いものだと思います。だからこそ、この殿舎で和嬪さまにお仕えする私たちはそのような尊い心をお持ちになったあなたさまを心よりお慕いするのです」

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