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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第20章 第四話 【永遠の少女】 永遠に理解し得ぬ二人  

「たったそれだけのことで、共に天を頂くのが許せないほど憎んだのですか?」
「たったそれだけ? それは何もかも手に入れた者のおごり高ぶった物言いではないか。奪われた者の口惜しさを考えてみるが良い。主上にこの上なく愛され、一時は世子の生母となったそなたに、空しく捨て置かれる賢嬪や温嬪の気持ちが判るというのか? そなたが後宮で時めいている陰で、あの二人は王の寵愛を失った惨めな妃として過ごしているのだぞ」
「私は―」
 自分が寵愛を受けるただ一人の側室だと奢る―そんなつもりはなかった。だが、大妃の指摘するように、自分一人がユンに愛される傍らで、愛されなかった女たちも確かに存在したのだ。

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