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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第20章 第四話 【永遠の少女】 永遠に理解し得ぬ二人  

 かつて伯母の崔尚宮が言っていた科白が今更ながらに思い出される。
―水上には美しき汚れのない蓮の花が群れ咲き、さながら、この世の楽園かとも思えるが、その実、水面下では互いに牽制し合い、隙あらば相手を陥れて脚を引っ張ろうと画策する醜い場所。
 女たちがただ一人の男の寵愛をめぐって競い合い、凌ぎを削る美しき花園。―それが後宮という場所なのだ。
 明姫は膝の前で組んだ指に意識を集中しようと努力した。ともすれば、得体の知れない怖ろしさに身体が震えそうになるのを堪える。

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