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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第20章 第四話 【永遠の少女】 永遠に理解し得ぬ二人  

―赤ちゃん、私の赤ちゃん。
 すべてがウンのときとは違った。初めてのお産は緩やかな痛みから始まり、それがやがて本格的な陣痛へと変わった。痛みが始まってから半日ほどでウンは産声を上げたのだ。
 もしかしたら、お腹の子は無事に産まれてはこないの?
 言いしれぬ不安が明姫を怯えさせた。自分の生命なんて、どうでも良い。だから、天地神明(チヨンチシンミヨン)の神よ、どうかお腹の子だけは無事にこの世に生まれさせ給え。
 子どもの誕生をずっと待ちわびていた愛する男性のためにも、私の生命と引きかえにしても良いから、子どもだけはお助け下さい。
 明姫は天にいる神に、そして神の御許にいるはずのウンに祈り続ける。 
 明姫の意識はそこで真っ暗な闇にすっぽりと飲み込まれた。

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