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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第21章 第二部【身代わりの王妃】 王の花嫁

 それを聞いた時、彼は鼻で嗤ったものだ。双子ならともかく、この世に見紛うほど似ている容姿を持つ人間がそうそういるはずもない。万が一、そのような女を捜し出してきたとて、それは明姫ではない。幾ら容姿が似ているからといって、その女にあっさりと腑抜けになるほど甘くはない。
 そう思ったものだったが、いざ、その場面になってみると、自分が考えてる以上に動揺しないわけにはいかなかった。
―似ている。
 彼が見ても、その許春花という娘は明姫にそっくりだった。双子どころか、明姫が生きてそのまま戻ってきたのかと言われても、納得できそうなほどである。もっとも、明姫は二十一歳で亡くなっている。

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