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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第2章 第一話 【桜草】 戸惑いと、ときめきと

それに、たくさんの女たちと一人の男をめぐって凌ぎを削るのなんて、到底耐えられない。良人の愛をたくさんの妻たちと分かち合うのも無理だわ、私には」
「そう、か。たくさんの女たちと一人の男の愛を分け合うのは無理か」
 その瞬間、ユンの端正な面がすっと翳ったのを明姫が気づくはずもない。
「だが、明姫。これだけは忘れるな。男だって、皆が皆、大勢の女を侍らせて歓んでいるとは限らない。例えば私なら、ただ一人の女を見つけて、生涯、その女人だけを愛し抜き守りたいと思う。そんな男だっているんだぞ」
 明姫が肩を竦めた。
「ユンが口にしても、あまり真実味がないわ」

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