身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第21章 第二部【身代わりの王妃】 王の花嫁
明姫が亡くなって十二年が経つというのに、まだ自分はこんなにも彼女を求めている。狡賢い領議政はユンのその心を彼自身よりよく理解していたのだ。
愚かな。あの娘がいかに明姫に似ていようと、明姫でないことは判っているのに。
ユンは大きな息を吐き出し、空を振り仰ぐ。
「殿下」
中宮殿の階(きざはし)を降りると、案じ顔の黄内官(ファンネガン)が待ち受けていた。かつて大殿内官であった黄孫維は既に齢七十を過ぎ、数年前に勇退した。今は都の外れの屋敷で悠々自適の隠居生活を送っている。
愚かな。あの娘がいかに明姫に似ていようと、明姫でないことは判っているのに。
ユンは大きな息を吐き出し、空を振り仰ぐ。
「殿下」
中宮殿の階(きざはし)を降りると、案じ顔の黄内官(ファンネガン)が待ち受けていた。かつて大殿内官であった黄孫維は既に齢七十を過ぎ、数年前に勇退した。今は都の外れの屋敷で悠々自適の隠居生活を送っている。