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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第22章 第二部【身代わりの王妃】 稚(おさ)な妻 

 直宗は聖君と謳われる偉大な王だが、私生活においてはあまり恵まれていない。殊に女運は良くなかった。最初の中殿は領議政の実の娘で即位と同時に嘉礼を挙げたものの、夫婦仲はよそよそしく、子どもにも恵まれなかった。
 直宗自身が見出し、熱愛した寵愛第一の側室和嬪は難産が元で腹に王の御子を宿したまま亡くなった(と、いうことになっている)。最初に迎えた二人の側室の中の温嬪は第一王女をあげたものの、死産であった。
 明姫を後宮に入れてから、直宗の後宮は長い空白があった。元々、彼は色好みの王ではなく、後宮で過ごす時間よりも大殿で政務を執ったり、暇なときも読書したりする方を好んだからだ。

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