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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第23章 第二部【身代わりの王妃】 抜け殻

 抜け殻

 どこかから細い女の声が聞こえてくる。よくよく耳を澄ましてみなければ判らないが、注意深く耳を傾けていると、それが歌なのだと判る。
 ユンはそっと歌声の流れる方へと近づいた。思ったとおり、緑の茂みの向こうで女が一人、歌を歌っている。豪奢なチマチョゴリを纏っているところから、彼女がただの女官ではないことは一目瞭然だ。
「温嬪」
 至近距離まで近づき、彼女を愕かさないようにそっと呼びかけると、女が振り向いた。ユンの顔を認めた瞬間、生気のない虚ろな顔にパッと光が差したように生き生きとした表情が甦る。

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