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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第3章 第一話【桜草】 逢いたくて~恋ごころ~

 まったく、何の部署にいるかは知らないが、昼日中から逢い引きをしようと迫ってくるとは、見かけによらず大胆な男だ。
 だが、明姫は心が弾むのを抑えられなかった。ユンとまた逢える。しかも、二人きりで。
 夜であれば、時間をさほど気にする必要もない。明姫は後宮生活も長く、いっぱしの女官として認められているから、一人部屋を与えられている。相部屋であれば、人眼や時間を気にする必要があるけれど、一人なら、ある程度の自由がきく。
 極端な話、夜明けまでに自室に戻れば良いのだ。もっとも、幾ら何でも、そこまでユンと一緒に過ごすつもりはないが。
 その日は夜になるのが待ち遠しくてならなかった。我ながら、現金なものだ。

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